■婿養子とは
一般的に、「お婿さん」と呼ばれている人と、「婿養子」の違いをご存知でしょうか。実は、法的にみれば、普通のお婿さんと婿養子では、色々と異なる点があるのです。
まず、お婿さんと聞くと、結婚をしたあとに妻側の姓を名乗ることであると認識されていることが多いと思います。確かに、これは一般的なお婿さんという認識としては正しいです。しかし、婿養子は、妻側の姓を名乗るだけではなく、妻の両親と養子縁組を行うことが必要です。養子縁組届を提出し、妻の両親と法的に親子関係になることではじめて、婿養子といえます。
●婿養子が離婚する場合にやるべきこと
先ほど確認した通り、婿養子となるためには、妻側の姓を名乗るだけではなく、妻の両親と養子縁組を行う必要があります。そのような婿養子ですが、離婚する場合には普通の夫が離婚する場合に比べて、何か特別な手続きを行う必要があるのでしょうか。
この点、婿養子が離婚する際に考えなければならないポイントは、妻の両親と行った養子縁組を解消するか否かという点です。婿養子の場合には、養子縁組をしていますが、単に離婚届を提出するだけでは、養子縁組による法的な親子関係はそのまま継続します。そのため、法的な親子関係を解消するためには、別途「養子離縁届」を提出しなければなりません。
●婿養子の離婚はどのような流れで行うか
ここからは、婿養子が離婚する際に行う手続きの流れについて分かりやすく説明していきます。
養子縁組の解消をしない場合には、単に離婚届を提出するという形で、離婚することが可能です。離婚することの話し合いを行い、両者が合意するに至れば、離婚届を提出します。
一方、養子縁組を解消することを考えている場合には、離婚届を提出する前に、まず養子離縁届を提出しましょう。なぜなら、離婚した後に、離縁をするか否かでもめる可能性があるからです。もし、離婚してしまった後に離縁をするか否かでもめて、裁判所に判断してもらう状況になった際に、必ず離縁が認められるとは限らないからです。このようなリスクを考えると、後から離縁するのではなく、先に離縁をしておき、そのあとに離婚するという流れをお勧めします。
●婿養子が離婚・離縁するとどうなるか
離縁をすると、法的な親子関係がなくなるため、妻の両親の相続権を失います。また、離縁を行う際には、特に妻の両親から財産分与を受けるということもできません。
名字に関しては、婿養子が離婚した場合、妻側の姓から元の姓に戻ります。しかし、親権者として子どもを引き取る場合に、もし自分の姓を名乗らせたいと思った場合には、子の名字の変更を申し立てる必要があります。なぜなら、子は妻の姓を名乗った状態で戸籍に残るからです。一方、元の姓に戻って旧姓を名乗るのではなく、自分も引き続き元妻側の姓を使用し続けたいという場合には、養子縁組を行ってから7年間経過している場合に限って、それを行うことが許されます。離縁届の提出の際に、手続きを行うことができます。
●婿養子に関するご相談は当事務所まで
伊藤寛法律事務所では、婿養子に関するご相談を幅広く承っております。主に大阪府や京都府にお住まいの方々を中心に、多くの方のご相談を受け付けております。
婿養子になるにはどうしたらいいのか、婿養子が離婚する際の手続きはどのように行えばいいのか、といったご相談があれば、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
婿養子の離婚手続き
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